2025/02/14
【派遣の受け入れ】派遣先責任者とは?役割を解説!
派遣社員の受け入れを進めるにあたり、以下の3つの役割担当者を設置する必要があります。
これらの役割は、派遣社員が円滑に業務を行えるように設置されるものであり、派遣法に基づいて契約書に記載する必要があります。そのため、派遣を受け入れる際には必ず決めておく必要があります。
本記事では、これらの役割のうち「派遣先責任者」に焦点を当て、その役割と担当者を選ぶ際のポイントや注意点などを解説します。
1.派遣先責任者とは?
派遣先責任者とは、派遣社員が実際に働く会社(派遣先)で、派遣社員の就業環境を管理する責任者のことで、 派遣先事業者に選任・配置が義務付けられています。
労働者派遣法第41条では「派遣スタッフの就業管理を一元的におこない、派遣先における派遣労働者の適正な就業を確保する人物」と定められており、派遣労働者の就業に関する様々な問題の解決にあたるなど、重要な役割を担っています。
また、派遣先責任者を設置しなかった場合、労働者派遣法に抵触し、30万円以下の罰金に処せられる場合があります。
2.派遣先責任者の役割
では、派遣先責任者とは具体的にどのような役割を担うのでしょうか?派遣先責任者の主な役割は以下の通りです。
①派遣社員の受け入れ準備
派遣社員がスムーズに働けるよう、必要な情報を伝えたり、職場環境を整えたりします。また、派遣社員に仕事内容や職場のルールなどを説明します。
②派遣社員への業務指示や指導
派遣社員に適切な指示や指導を行い、仕事が円滑に進むようにサポートします。業務の進捗状況や問題点などを把握し、必要に応じてアドバイスを行います。
③派遣社員の安全衛生管理
派遣社員が安全に働けるよう、職場環境の安全管理を行います。また、安全に関する教育や指導を行い、事故やトラブルを防止します。
④ 派遣先管理台帳の作成・管理
派遣社員の労働時間や業務内容などを記録した書類を作成・管理します。この書類は、派遣元との情報共有や、派遣社員の労働条件の確認などに使われます。
⑤派遣元との連絡調整
派遣元企業と密に連携を取り、派遣社員の就業状況や問題点などを共有します。派遣社員に関する様々な情報を交換し、より良い就業環境を築くために協力します。
⑥派遣社員からの苦情処理
派遣社員からの苦情や相談を受け付け、適切に対応します。苦情内容を調査し、改善策を検討・実施することで、派遣社員の不満を解消します。
3.派遣先責任者になるには?
派遣先責任者になるために、特別な資格や免許は必須ではありません。しかし、派遣社員が安心して働ける環境を作るためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
①必要な条件
派遣先責任者になるためには、以下の要件を満たす必要があります。
(1)労働関係法令に関する知識 労働基準法や派遣法など、労働関係の法律に関する基本的な知識を持っていることが求められます。
(2)人事・労務管理の知識・経験 派遣社員の就業管理や労務管理に関する知識や経験があると、より適切に業務を遂行できます。
(3)一定の決定権限 派遣社員の就業条件や業務内容について、ある程度の決定や変更ができる権限を持っていることが必要です。
(4)コミュニケーション能力 派遣社員や派遣元企業との円滑なコミュニケーションを図り、信頼関係を築けることが大切です。 |
派遣先責任者は、必ずしも正社員である必要はありません。契約社員や嘱託社員、パート社員であっても、上記の要件を満たしていれば派遣先責任者になることができます。
ただし、派遣先責任者には、派遣労働者の相談対応や苦情処理、派遣元との連絡・調整など、責任の重い業務が求められます。そのため、業務を適切に行えるよう、十分な時間や権限を与える必要があります。
②派遣先責任者講習とは?
上記の条件に該当する人物がいない場合は、「派遣先責任者講習」を利用し、派遣先責任者として適切な業務をおこなうための必要な専門知識を身につけることができます。
派遣先責任者講習は厚生労働大臣が指定する機関で受講することができます。
講習内容は、派遣労働法などの法律や、派遣先責任者の役割、業務に必要な知識などです。講習内容や講習時間、受講料は、実施機関によって異なります。
③派遣先責任者になるためのステップ
STEP1:労働関係法令や人事・労務管理に関する書籍やセミナーなどを通じて、必要な知識を習得します。
STEP2:人事・労務管理に関わる業務経験があると、派遣先責任者としての業務をスムーズに行うことができます。
STEP3:派遣先企業によっては、派遣先責任者向けの研修を実施している場合があります。積極的に参加し、必要な知識やスキルを身につけましょう。
STEP4:派遣先企業の事業主や人事担当者によって、派遣先責任者として選任されます。
4.派遣先責任者に必要な人数
労働者派遣法では、派遣先事業所ごとに、派遣労働者数に応じて以下の人数の派遣先責任者を選任する必要があります。
事業所ごとの派遣労働者の数 | 必要な派遣先責任者の数 |
1人~100人以下 |
1人以上 |
101人~200人以下 | 2人以上 |
201人~300人以下 | 3人以上 |
以降、100人増えるごとに1人ずつ増やす必要があります。
ただし、これはあくまで最低限の人数であり、派遣先事業所の規模や業種、派遣労働者の数などを考慮して、適切な人数の派遣先責任者を選任することが重要です。
5.まとめ
派遣先責任者は、派遣労働者が安心して働くために、また派遣先企業が派遣労働者を有効活用するために、非常に重要な役割を担っています。
選任にあたっては、本ブログに記したポイントを踏まえ、適切な人材を選ぶようにしましょう。また、選任後も、派遣先責任者がその能力を十分に発揮できるよう、会社全体でサポートしていくことが大切です。
本記事が、派遣先責任者の役割や選任のポイント、注意点などを理解する上で、少しでもお役に立てれば幸いです。
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