2025/02/28投稿者:広報担当

【派遣の受け入れ】派遣先苦情申出先担当者とは?役割を解説!

派遣社員の受け入れを進めるにあたり、以下の3つの役割担当者を設置する必要があります。

 

・派遣先責任者

・指揮命令者

・苦情申出先担当者

 

これらの役割は、派遣社員が円滑に業務を行えるように設置されるものであり、派遣法に基づいて契約書に記載する必要があります。そのため、派遣を受け入れる際には必ず決めておく必要があります。

派遣を受け入れる際に知っておきたい注意点とは?

 

本記事では、これらの役割のうち「苦情申出先担当者」に焦点を当て、その役割と担当者を選ぶ際のポイントや注意点などを解説します。

 

1.派遣先苦情申出先責任者とは?

派遣先苦情申出先責任者とは、派遣労働者が就業先(派遣先)で困ったことや不満があった場合に、相談や苦情を受け付ける担当者のことです。

労働者派遣法によって、派遣先企業は派遣労働者からの苦情を受け付ける窓口を設置することが義務付けられています。

 

労働者派遣法第40条第2項において、「派遣先は、派遣労働者からの苦情の申し出を受け、適切に対応するために必要な措置を講じなければならない」と定められています。

 

また、派遣先苦情申出先責任者を設置しなかった場合、労働者派遣法違反になる可能性や、派遣労働者とのトラブルに発展する可能性があります。

 

【参考】労働者派遣法 │ 厚生労働省

 

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2.派遣先苦情申出先責任者の役割

では、苦情申出先責任者とは具体的にどのような役割を担うのでしょうか?派遣先責任者の主な役割は以下の通りです。

 

苦情の受付とヒアリング

派遣社員からの苦情や相談を丁寧に聞き取り、内容を正確に把握します。

必要に応じて、具体的な状況や背景について詳細なヒアリングを行います。

 

②事実確認と関係者への連絡

受け付けた苦情内容について、事実確認を行います。

必要に応じて、派遣先責任者や派遣元の担当者など、関係各所に連絡を取り、情報共有や連携を図ります。

 

③苦情解決に向けた対応

関係者と協力し、苦情解決に向けた具体的な対応策を検討・実施します。派遣社員に対して、対応状況や結果を適切に報告します。

 

④記録と報告

苦情内容、対応状況、解決結果などを記録し、派遣先管理台帳に記載します。

必要に応じて、関係機関への報告を行います。

 

⑤派遣社員への情報提供と支援

派遣社員に対して、相談窓口や権利などに関する情報を提供します。

必要に応じて、派遣社員のメンタルケアやキャリア相談などの支援を行います。

 

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3.派遣先苦情申出先責任者になるには?

派遣先苦情申出先担当者になるために、特別な資格や試験は必要ありません。しかし、派遣先企業は、以下の要素を持つ人材を派遣先苦情申出先担当者として選任することが望ましいです。

 

①求められる能力・経験

(1)労働関係法令に関する知識

労働基準法、労働者派遣法など、派遣労働に関する法令の基本的な知識が必要です。これにより、派遣労働者の権利や派遣先の義務を理解し、適切な対応ができます。

 

(2)人事・労務に関する知識・経験

労働時間、休暇、賃金など、人事・労務に関する基本的な知識があると、苦情内容の理解や解決に役立ちます。

 

(3)コミュニケーション能力

派遣労働者からの相談や苦情を丁寧に聞き取り、内容を正確に把握する能力が重要です。また、関係者との連携や調整を行うための円滑なコミュニケーション能力も必要です。

 

(4)問題解決能力

苦情内容を分析し、適切な解決策を見つけ出す能力が求められます。

 

(5)個人情報保護に関する知識

派遣労働者の個人情報を適切に取り扱うための知識が必要です。

労働者派遣法において、派遣先苦情申出先担当者の人数について明確な規定はありません。

しかし、派遣先は派遣労働者からの苦情に適切に対応する義務があり、そのために必要な人数を配置する必要があります。

 

②他の役割と兼任できるか?

苦情申出先担当者は同じく法律で定められている「派遣先責任者」「指揮命令者」と兼任することができます。ただし、いくつかの注意点があります。

 

〈 派遣先責任者と兼任する場合 〉

派遣先責任者は、派遣社員の就業環境の整備や派遣元企業との連絡調整などを行う役割であり、苦情申出先担当者と兼任することができます。ただし、派遣先責任者の業務量が多い場合は、兼任が難しい場合があります。

 

〈 指揮命令者と兼任する場合 〉

指揮命令者との兼任は、望ましくないとされています。指揮命令者は派遣社員に直接業務指示を出すため、苦情の対象となる可能性があり、兼任すると適切な問題解決が難しくなる場合があります。

 

③苦情申出先担当者になるためのステップ

STEP1:派遣労働者の権利、派遣先の義務、苦情処理に関する規定など、労働者派遣法全般を理解することが必須です。また、労働関連法規全般の知識も必要です。

STEP2:派遣社員からの苦情を丁寧に聞き取り、問題の本質を把握するヒアリング能力や、苦情の原因を分析し、解決策を検討する問題分析能力など、苦情処理のスキルを習得しましょう。

STEP3:実務経験を通して、派遣社員が実際にどのような業務を行っているのかを把握したり、研修に参加したりして、苦情への対応の仕方や解決策を学ぶことが有効です。

STEP4:上記で得た知識、経験、スキル、性格などを総合的に判断し、派遣先企業が責任者を選任します。

 

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4.苦情申出~処理までの流れ

派遣社員から苦情が出た場合、その申出から処理までの流れを簡単にご説明します。

 

①苦情申出先への連絡

派遣社員派遣先苦情申出先責任者に、電話、メール、または書面などで苦情を申し出ます。

 

苦情の受付とヒアリング

苦情申出先担当者は、派遣社員から苦情内容を詳細に聞き取り、記録します。必要に応じて、関係者へのヒアリングも行います。

 

③事実確認と調査

苦情内容に基づいて、事実関係を確認し、必要な調査を行います。派遣元企業との連携も重要です。

 

④解決策の検討と提示

事実確認と調査の結果に基づいて、適切な解決策を検討します。解決策を派遣社員に提示し、合意を得ます。

 

⑤解決策の実施とフォローアップ

合意した解決策を実施し、その後の状況をフォローアップします。再発防止策を検討し、必要に応じて社内規定や業務フローの見直しを行います。

 

⑥記録と報告

苦情申出から解決までの過程を記録し、派遣元企業および関係部署に報告します。

 

 

5.まとめ

派遣先苦情申出先担当者は、派遣社員が安心して働くための重要な役割を担っています。

派遣社員からの声に耳を傾け、迅速かつ適切に対応することで、働きやすい職場環境を実現し、企業の信頼性向上にも繋がります。

もしあなたが派遣先苦情申出先担当者に任命されたら、まずは関連法規の理解を深め、苦情処理のスキルを習得しましょう。そして、派遣社員とのコミュニケーションを密にし、信頼関係を築くことが大切です。

困ったときは、派遣元企業や専門機関に相談することも忘れずに、積極的に役割を果たしてください。

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